76-63に見るそろばん新技術

Sonoban is a Japanese abacus calculation board, which is now used toward intelligence development in particular for children, rather than getting calculation skill itself. I used to practice Soroban very hard until when I was a junior high school student. Now my daughter goes to a Soroban school and I sometimes support her calculation homework. I was surprised to find a recent strategy of working the beads through my daughter’s calculation.

 幼少から小学生期の教育の基礎として「読み・書き・そろばん」と言われていたのはいつ頃までだったか定かではありませんが、1970年生まれの私が中学を卒業する頃までは、その時代だったかと思います。同じ小学校区に2か所もそろばん塾があり、多くの子供が通っていました。学校で一度も同じクラスになったことは無いけどそろばん(や少年野球で)を通じての友達も何人か居たように思います。

 私は小学生3年生直前から通い始めました、1回1時間を週3回みっちりでした。後々入部する少年野球と違い、失敗してもフィジカルな愛のムチはありませんでしたが、集中のOn/Offの切り替えがまだ難しい小学生特有のだらしなさには厳しい先生だったと思います。15時から20時まで6,7クラス、トータル300~400人も居れば「こぅらぁ!!」と叱りつけないと収拾が付かない集団でだったのでしょう。私はほとんど怒られた記憶がありませんが、お行儀が良かったのではなく、先生が怖くて怖くて…というのが正直なところです。

 そろばんは、要の段階で適切な手ほどきを受ければ、あとはひたすら珠を弾くのみです。級が上がれば計算桁数が増えるため、余計なことを考える暇が無かったので集中力は養われたかもしれません。厳しい先生の指導のおかげで初級から中級まで上達は早く、5年生の3学期には2級を合格し、目標とする1級合格(指導者資格に到達?)も時間の問題だと楽観していましたが…そこから3年半、一度も一級に合格できず、中学3年生の2学期半ば、5回から6回連続不合格でとうとうギブアップしました。あの頃は整理出来ない挫折感を抱いたように思いますが、今となっては良い経験だったと思います。

 私が習ったそろばん珠の弾き方では、人差し指が活躍します。
親指は、一の珠(下4個)を下から上に移動させて梁(はり)に触れさせて数えるべき数とする、数を「足す」時にのみ使います。親指の腹を使います。
人差し指は、それ以外の全て
 ・一の珠を上から下に移動させる=梁から離す=数を「引く」時 (指の腹)
 ・五の珠を上から下に移動させる=梁に付ける=五を「足す」時 (指の腹)
 ・五の珠を下から上に移動させる=梁から離す=五を「引く」時 (指の爪)で使います。

 例えば76から63を引く時は「①【人】10を引く、②【人】50を引く、③【親】3を足す、④【人】5を引く」という4ステップを順次行います。一見面倒に見えますが、弾き間違いを修正することを考えると、欲張って同時にたくさん弾いてしくじるとその時点でご破算になるので、修正可の余地を残しつつ、より正確に、より速く珠を弾けることを目指していました。成長してくると手指が大きく太くなり、うっかり隣の珠を一緒に弾いてしまうことが結構多かったのです。

 先週末、ピアノ発表会を終えた長女は、夏休み入りを満喫する暇も無く、そろばんの検定試験を控えています。同じ塾の上達が少し早い同級生2,3人が受験するのに合わせて、今の長女にはハードル高めですが同じ級を受けるそうです。オリンピック連休中に二度ほど練習に立ち会いました。時間を計ると合格点に達しませんが、ゆっくり弾けば正答します、自力で正解しない時も、一歩ずつステップを確認しながら進め、間違いを指摘すれば正解します。つまり、基本が理解出来ているので、あとはより速く、より正確に弾けるよう練習するだけだと思いますが、珠の弾き方がしばしば自己流に見えて「えっ?そんな弾き方を教わってるの?弾き間違ったら即ご破算で余計に遅くなるよ?」と言うのですが「良いの!」と怒られます。上の76-63であれば、①と②を同時、③と④を同時に弾くことがあるのです。

 そんな中、割り算の計算法として「九立商」という聞きなれないキーワードをネットで目にしました。詳細は省略しますが、割り算特有の「割れる・足りると思ったのに、割れない・足りない、戻さなきゃ…」問題に関わる方法だと分かりました。割り算の習い始めには実践へのきっかけとして有効かもしれませんが、適用例が限定的なため、私の先生は敢えて教えてくれなかったのかもしれません。

 あれこれ納得できる説明を探しているとyoutubeのあるチャネルにたどり着き、そこでそろばん玉の弾き方を観ていたのですが…思わず「えーーーっっっ!!!」と声を上げてしまいました。

 そのビデオの先生は、長女と同じ弾き方をしていました。 76-63を、①②と③④の2ステップで済ませてしまっていたのです!そのため、特に、私が一度も使ったことのない親指の爪を使い①10を引く②50を引く、を1ステップで済ませていたのです。そこでようやく気付きました「そうか、これが新しい弾き方なのか」と。

☝1回目は私の弾き方。2回目が新しい(?)弾き方

もちろん、実は古くから存在していたけれど、私は単に私の先生の流儀しか教わらなかっただけかもしれません。これまでの人生でもしばしば遭遇しましたが、自分と自分のコミュニティの常識は、万人の常識なのか?確認しないと分からないことがいろいろありそうだな、と思いました。

 長女がそろばんを頑張っている姿を見て、また、新しいそろばん珠の弾き方を知って…ある挑戦をしたくなってきました。詳しくは、別の機会に紹介させていただく予定です。ともかく、長女、頑張れ!