3Dグラフィックス

タンパク質立体構造は文字通り3次元情報ですので、構造の正しい理解には3Dグラフィックスが欠かせません。研究で用いる構造解析用ソフトウエアでは、NVIDIA社のステレオメガネ(3D Vision)を使える環境が提供されており、研究室では5台の3D Vision搭載マシンが稼働しています。非常に綺麗な映像で、オープンキャンパス等では積極的に披露していますが、講義への活用となると…コストが高く、専用メガネを人数分用意するのは非常に厳しい状況です。

配布資料もスクリーン映像も2次元ですが、それらを使い、より安価に3次元情報を発信する手段として、ステレオペア図が考えられます。静止図を示したい場合はついでにペア図にすれば良く、特殊なツール無しで導入できます。下図で、左右それぞれの絵の上にある黒丸が重なるように「ぼ~」っとスクリーンを眺めていると、次第に左右の図が接近し、重なったところで図が立体になります(平行視法)。ただ、苦手な方にはこの立体視が難しく、また平行法では両目の間隔より大きいペア図を重ねてみることは出来ないため、配布資料での活用に制限されます(交差法=右目で左図を、左目で右図を見る方法もあるそうですが私にはできません)。

一方、一部のタンパク質表示ソフトウエアにアナグリフ(anaglyph)用の出力が備わっていることに、つい最近気づきました(大昔から存在していたにも関わらず…)。上のリボン図をそのままアナグリフ出力したのが下の図です。最も単純なシステムでは配色に著しい制限が有りますが、スクリーンに映して立体視がおそらく可能であり、メガネも1個あたり数十円単位で購入可能ということで、数十人規模の講義でも、3D情報を使ってタンパク質構造を解説できそうだ、という目処がたちました。ただし後期授業は早くも来週に迫っており、今からどこまで準備出来るのか…という別の重要な問題が立ちはだかっています。

↑赤青メガネで眺めると立体になります